コンテンツにスキップ

透明なゆりかご 産婦人科医院 看護師見習い日記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
透明なゆりかご
産婦人科医院 看護師見習い日記
ジャンル 産婦人科
医療漫画
漫画
作者 沖田×華
出版社 講談社
掲載誌 Kiss PLUSハツキス
レーベル KC KISS
発表号 2014年1月号 - 2014年3月号(Kiss PLUS)
2014年7月号 - 32号(ハツキス)
発表期間 2013年12月7日 - 2021年2月25日
巻数 全9巻
話数 全64話
ドラマ:透明なゆりかご
原作 沖田×華
脚本 安達奈緒子
演出 柴田岳志(NHKエンタープライズ)
村橋直樹(NHKエンタープライズ)
鹿島悠(NHKエンタープライズ)
制作 NHKエンタープライズ
放送局 NHK総合
放送期間 2018年7月20日 - 9月21日
話数 10回
テンプレート - ノート
ポータル 漫画

透明なゆりかご 産婦人科医院 看護師見習い日記』(とうめいなゆりかご さんふじんかいいん かんごしみならいにっき)は、沖田×華日本医療漫画作品。『Kiss PLUS』(講談社)2014年1月号より連載を開始し、同誌が2014年3月号に休刊したことに伴い、第3話より『ハツキス』(講談社)に連載が移された。『ハツキス』では2014年7月号(創刊号)より32号まで不定期で連載された。第42回(2018年度)講談社漫画賞少女部門受賞作[1][2]

作者の沖田が高校時代に勤めていた産婦人科の見習い看護師の経験を通じて、生まれる命の重さや大切さを知った実体験を基にしている。

2018年7月に『透明なゆりかご』のタイトルで、NHK総合ドラマ10」にてテレビドラマ化された[3]

概要

[編集]

准看護学科に通う高校生だった作者が看護師見習いとして産婦人科医院に勤務した実体験をもとに、産婦人科の残酷な実情や母性について描く[4]。もともと医療ものの作品が好きで、特に出産・妊娠を描いた作品に「色々な困難があったけれど、産んだら皆幸せ」という結末となるものが多いことに長く違和感を感じていたという作者が、「産婦人科は命が生まれるだけの場所じゃない」と幸せな出産の裏側でひっそりと日常的に進行する妊娠中絶DV性虐待といった事例にも焦点を当て、産婦人科の光と影を描いている[5][6]

作者初のフィクション作品となった『ギリギリムスメ』の連載に行き詰まった時に、「私が経験したことで何か漫画になるようなことあったかな、そういえば産婦人科でバイトしてたことがあったな」と本作を着想し、ネームを制作して編集者に提案。『ギリギリムスメ』の連載終了に続いて本作の連載を開始した[4][7]。作品名は当初「存在していたのに認識されることなく“ないことにされた”中絶胎児たちの命」の「存在が透けているような不安定感、不透明感」をイメージしてつけられた仮題『透明なゆりかご』がそのまま正式に採用された[6]

作品発表以来多くの読者からの反響を呼び、20代から30代の女性を中心に共感を得て、累計発行部数は325万部[注 1]を突破するヒット作品となった[4][8]。2021年2月時点で累計発行部数は420万部を突破している[9]。2017年には「全国書店員が選んだおすすめコミック2017」にて11位となり[10]、翌2018年には第42回(2018年度)講談社漫画賞を少女部門にて受賞した[1][2]

あらすじ

[編集]

看護師になることを目指す主人公・沖田×華がクリニックでのアルバイトを経て、「生きるとは何か」を学ぶ物語。

登場人物

[編集]

主人公と病院関係者以外の登場人物はゲストキャラクターである。

沖田×華(おきた ばっか)
主人公。高校の看護科に通っており、看護師になる事を目指している。母のすすめで地元の産婦人科医院でアルバイト勤務を始める。資格を取得するも看護師になれず、漫画家になる。

受賞歴

[編集]

書誌情報

[編集]
  • 沖田×華 『透明なゆりかご 産婦人科医院 看護師見習い日記』 講談社〈KC Kiss〉、全9巻
    1. 2015年5月13日発行(同日発売[11])、ISBN 978-4-06-340957-4
    2. 2015年10月13日発行(同日発売[12])、ISBN 978-4-06-340969-7
    3. 2016年4月13日発行(同日発売[13])、ISBN 978-4-06-340985-7
    4. 2016年10月13日発行(同日発売[14])、ISBN 978-4-06-398001-1
    5. 2017年5月12日発行(同日発売[15])、ISBN 978-4-06-340957-4
    6. 2017年12月13日発行(同日発売[16])、ISBN 978-4-06-510617-4
    7. 2018年8月9日発行(同日発売[17])、ISBN 978-4-06-512877-0
    8. 2019年10月11日発行(同日発売[18])、ISBN 978-4-06-514482-4
    9. 2021年4月13日発行(同日発売[19])、ISBN 978-4-06-518734-0

テレビドラマ

[編集]
透明なゆりかご
ジャンル テレビドラマ
原作 沖田×華
脚本 安達奈緒子[注 2]
演出 柴田岳志
村橋直樹
鹿島悠
出演者 清原果耶
瀬戸康史
酒井若菜
マイコ
葉山奨之
野村麻純
淵上泰史
水川あさみ
原田美枝子
音楽 清水靖晃
エンディング Charaせつないもの
時代設定 1997年夏 - 1999年
製作
制作統括 須崎岳
髙橋練
制作 NHKエンタープライズ
製作 NHK
放送
放送チャンネルNHK総合
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2018年7月20日 - 9月21日
放送時間金曜22:00 - 22:44
放送枠ドラマ10
放送分44分
回数10
公式サイト

特記事項:
第1回は37分遅れで放送(22:37 - 23:21)[注 3]
第8回は10分遅れで放送(22:10 - 22:54)[注 4]
最終回は1分拡大(22:00 - 22:45)。
テンプレートを表示

透明なゆりかご』(とうめいなゆりかご)のタイトルで、NHK総合ドラマ10」にて2018年7月20日から9月21日まで放送された。連続10回。主演は本作がドラマ初主演となる清原果耶[3][8]。平成30年度(第73回)文化庁芸術祭(テレビ・ドラマ部門)大賞[20]、第35回ATP賞テレビグランプリドラマ部門最優秀賞およびグランプリ[21]受賞作。

ドラマ版では、原作者をモデルとする青田アオイが主人公となっている。

キャスト

[編集]

主要人物

[編集]

その他

[編集]

ゲスト

[編集]
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回
第8回
第9回
最終回

スタッフ

[編集]

放送日程

[編集]
放送回 放送日 サブタイトル 演出
第1回 7月20日 命のかけら 柴田岳志
第2回 7月27日 母性ってなに
第3回 8月03日 不機嫌な妊婦
第4回 8月10日 産科危機
第5回 8月17日 14歳の妊娠 村橋直樹
第6回 8月24日 いつか望んだとき
第7回 8月31日 小さな手帳
第8回 9月07日 妊婦たちの不安
第9回 9月14日 透明な子 鹿島悠
最終回 9月21日 7日間の命 柴田岳志
  • 第1回は、22時37分 - 23時21分の37分遅れで放送された[注 3]
  • 第1回は7月26日23時55分 - 0時45分にNHK総合『NET BUZZ』にて再放送された[23]
  • 第1回は、平成30年度文化庁芸術祭参加作品として10月10日1時40分 - 2時24分にNHK総合にて再放送された[24]
  • 第2回は、平成30年度文化庁芸術祭参加作品として10月10日2時34分 - 3時28分にNHK総合にて再放送された[24]
  • 第8回は、22時10分 - 22時54分の10分遅れで放送された[注 4]
  • 最終回は、22時 - 22時45分の1分拡大放送。
  • 最終回は、10月4日23時55分 - 0時50分にNHK総合『NET BUZZ』にて再放送された[25][注 5]
  • NHK BS4Kにて2020年1月15日より4K/5.1ch版を放送開始、最終回は48分バージョンで放送された
  • 2021年5月3日から同年5月7日未明(6日深夜)にかけて全10話が再放送される予定(最終回は48分バージョンで放送予定)。
  • 2024年1月28日未明(27日深夜)に第1回から第4回、29日未明(28日深夜)に第5回から第8回、30日未明(29日深夜)に第9回と最終回の日程でで全10話が再放送された。[26]

関連番組

[編集]
ドキュメント 透明なゆりかご[27]
2018年7月16日 18時7分 - 18時43分、NHK総合
東京都内の産婦人科病院における小さな命の現場を紹介するドキュメンタリー
語り - 清原果耶
まだ間に合う!透明なゆりかご
2018年8月16日 23時 - 23時10分、NHK総合
これまでのエピソードと今後のストーリー、登場人物の紹介。出演者による座談会。
出演 - 清原果耶、瀬戸康史水川あさみ
語り - 久保田祐佳

作品の評価

[編集]

重い現実を美化することなく正面から描こうとする出演者、制作スタッフの覚悟が伝わること、シリアスな内容にもかかわらず視聴後温かい気持ちになれるような希望が示されていることなどが評価され、放送批評懇談会によるギャラクシー賞の2018年9月度月間賞を受賞した[28]

受賞歴(テレビドラマ)

[編集]

関連商品

[編集]
ノベライズ
サウンドトラック
  • 清水靖晃『NHKドラマ10「透明なゆりかご」オリジナル・サウンドトラック』(2018年12月19日、アイデアルミュージック、NGCS-1090)
DVD
  • 透明なゆりかご DVD-BOX(2019年1月25日、ハピネット、HPBR-320)
NHK総合 ドラマ10
前番組 番組名 次番組
デイジー・ラック
(2018年4月20日 - 6月22日)
透明なゆりかご
(2018年7月20日 - 9月21日)
昭和元禄落語心中
(2018年10月12日 -12月14日)

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 2018年4月時点[8]
  2. ^ a b c d e 清原と蒔田とマイコは、朝ドラ「おかえりモネ」(2021年)で共演者。安達は、同作脚本担当。
  3. ^ a b 22:00 - 22:37に第196通常国会事実上閉会に伴う安倍晋三首相(当時)の記者会見を特番扱いの『NHKニュース』として中継したため。
  4. ^ a b 前座番組『ニュースウオッチ9』が放送前日に発生した北海道胆振東部地震に関するニュースのため10分拡大して放送されたのに伴うもの。
  5. ^ 未公開シーンを含む「特別ロング版」(48分)。
  6. ^ きのう何食べた?』とあわせて受賞。

出典

[編集]
  1. ^ a b c 第42回(2018年度)「講談社漫画賞」決定のお知らせ” (PDF). 講談社 (2018年5月10日). 2018年7月25日閲覧。
  2. ^ a b c “講談社漫画賞はBEASTARS、透明なゆりかご、傘寿まり子、フラジャイルに決定”. コミックナタリー (ナターシャ). (2018年5月10日). https://natalie.mu/comic/news/281650 2018年7月25日閲覧。 
  3. ^ a b 清原果耶さん主演「透明なゆりかご」制作開始!”. NHKドラマ. 日本放送協会 (2018年4月12日). 2018年7月25日閲覧。
  4. ^ a b c “『透明なゆりかご』作者が語る、日本の死亡原因“本当”の1位が中絶だという現実”. 週刊女性PRIME (主婦と生活社). (2017年6月16日). https://www.jprime.jp/articles/-/9908 2018年7月28日閲覧。 
  5. ^ 沖田×華(インタビュアー:松澤夏織)「生まれたばかりの我が子を見て「ハズレだ」と言った母親の心理。産婦人科実録作者に聞く2」『エキレビ!(エキサイト)』、2015年5月14日https://www.excite.co.jp/news/article/E1431535624977/2018年7月28日閲覧 
  6. ^ a b 沖田×華(インタビュアー:松澤夏織)「生まれたばかりの我が子を見て「ハズレだ」と言った母親の心理。産婦人科実録作者に聞く2」『エキレビ!(エキサイト)』、2頁、2015年5月14日https://www.excite.co.jp/news/article/E1431535624977/?_p=22018年7月28日閲覧 
  7. ^ 沖田×華(インタビュアー:小山喜崇)「独占漫画家インタビュー:沖田×華「『ゆりかご』を描いて良かった」」『めちゃマガ(めちゃコミック)』、2017年12月13日https://sp.comics.mecha.cc/free/mechamaga/articles/a-okita-bakka-iv2018年7月28日閲覧 
  8. ^ a b c “清原果耶、ドラマ初主演決定 瀬戸康史ら共演者も明らかに〈透明なゆりかご〉”. モデルプレス (ネットネイティブ). (2018年4月12日). https://mdpr.jp/news/detail/1759628 2018年7月28日閲覧。 
  9. ^ Kiss編集部 Twitter” (2021年2月24日). 2021年2月25日閲覧。
  10. ^ 日販 ほんのひきだし編集部 芝原 (2017年2月1日). “「全国書店員が選んだおすすめコミック2017」発表!【書店員コメント・解説あり】”. ほんのひきだし. 日本出版販売. 2018年7月28日閲覧。
  11. ^ 透明なゆりかご(1)”. 講談社コミックプラス. 2018年7月25日閲覧。
  12. ^ 透明なゆりかご(2)”. 講談社コミックプラス. 2018年7月25日閲覧。
  13. ^ 透明なゆりかご(3)”. 講談社コミックプラス. 2018年7月25日閲覧。
  14. ^ 透明なゆりかご(4)”. 講談社コミックプラス. 2018年7月25日閲覧。
  15. ^ 透明なゆりかご(5)”. 講談社コミックプラス. 2018年7月25日閲覧。
  16. ^ 透明なゆりかご(6)”. 講談社コミックプラス. 2018年7月25日閲覧。
  17. ^ 透明なゆりかご(7)”. 講談社コミックプラス. 2018年8月9日閲覧。
  18. ^ 透明なゆりかご(8)”. 講談社コミックプラス. 2018年10月13日閲覧。
  19. ^ 透明なゆりかご(9)”. 講談社コミックプラス. 2021年4月13日閲覧。
  20. ^ a b 平成30年度(第73回)文化庁芸術祭賞の決定について” (PDF). 文化庁. p. 5. 2018年12月27日閲覧。
  21. ^ a b c 第35回 ATP賞テレビグランプリ”. 全日本テレビ番組製作社連盟. 2019年7月11日閲覧。
  22. ^ 【森山のえる 出演】”. ウォーターブルー. ニュース (2018年7月26日). 2018年8月27日閲覧。
  23. ^ NET BUZZ「ドラマ10 透明なゆりかご(1)“命のかけら”」”. NET BUZZ. 日本放送協会. 2018年10月2日閲覧。
  24. ^ a b 平成30年度 文化庁芸術祭 テレビ部門 ドラマの部 参加作品決定!”. NHKドラマ. 日本放送協会 (2018年10月2日). 2018年10月2日閲覧。
  25. ^ NET BUZZ▽ドラマ10 透明なゆりかご10[終]“7日間の命”特別ロング版”. NET BUZZ. 日本放送協会. 2018年10月2日閲覧。
  26. ^ 「命って何だろう?」と問いかけ、数々の賞を受賞した「透明なゆりかご」を一挙再放送”. ドラマ情報. 日本放送協会. 2024年1月30日閲覧。
  27. ^ ドキュメント 透明なゆりかご”. NHKドキュメンタリー. 日本放送協会. 2018年7月25日閲覧。
  28. ^ a b “『dele』ギャラクシー賞9月度月間賞「テレ朝深夜が冴えている」”. マイナビニュース (マイナビ). (2018年10月22日). https://news.mynavi.jp/article/20181022-711398/ 2018年10月22日閲覧。 
  29. ^ 第56回奨励賞受賞作品”. ギャラクシー賞. 放送批評懇談会. 2019年6月16日閲覧。
  30. ^ “【18年7月期ドラマ賞】“命の物語”に反響 清原果耶主演『透明なゆりかご』が2部門受賞”. ORICON NEWS (oricon ME). (2018年10月26日). https://www.oricon.co.jp/news/2122236/full/ 2019年6月16日閲覧。 
  31. ^ “『コンフィデンスアワード・ドラマ賞 年間大賞 2018』発表 『おっさんずラブ』ほか全7部門受賞者から喜びのコメント”. ORICON NEWS (oricon ME): p. 7. (2019年3月1日). https://www.oricon.co.jp/confidence/special/52592/7/ 2019年6月16日閲覧。 
  32. ^ 第45回放送文化基金賞 受賞一覧・記者発表”. 放送文化基金賞. 放送文化基金. 2019年6月16日閲覧。
  33. ^ 東京ドラマアワード”. 国際ドラマフェスティバル. 2019年10月28日閲覧。
  34. ^ 『小説 透明なゆりかご (上)』(橘 もも,沖田 ×華,安達 奈緒子):講談社文庫”. 講談社BOOK倶楽部. 講談社. 2018年8月7日閲覧。
  35. ^ 『小説 透明なゆりかご (下)』(橘 もも,沖田 ×華,安達 奈緒子):講談社文庫”. 講談社BOOK倶楽部. 講談社. 2018年9月7日閲覧。

外部リンク

[編集]